08 約定解除と合意解除
09 解除をするとどうなるのか
債務不履行などにより契約が解除されると、契約自体が最初からなかったことになります。ですから、それ以降の履行義務がなくなるだけでなく、それまでにあった履行も元に戻さなければなりません。つまり、契約を結んだ時点の状態に戻す必要(原状回復義務)があるということです。
たとえば、デザイナーA氏が、5種類でひと組のポスターを作ってB社に納める義務を負っていたとします。ところが、納品が遅れたうえに、催告された期日が来ても3種類しか納めることができず、B社から契約を解除されてしまいました。
このとき、B社はそれまでに受け取っていた3種類のポスターをA氏に返還し、A氏は受け取っていた報酬があればB社に返還します。これで最初から無関係の状態になるのですが、B社が損害を負っていた場合はその部分の関係だけ消滅せず、A氏に対して賠償請求することができます。
ちなみに、契約の当事者が一方だけでも複数いる場合、つまり、B社に納めるポスターをA氏とC氏が共同して作成する場合などは、当事者全員で解除しなければなりません。ですから、B社がA氏との契約を解除するときは、C氏との契約も解除することになります。また、A氏から解除する場合は、必ずC氏と一緒にする必要があります。
ただし、合意解除の場合は内容を自由に決められますので、納品されていない2種類に関する契約だけ無効とすることや、C氏との契約だけ打ち切ることも可能です。
10 契約書を作成する目的
契約の基礎09

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