第11句から第20句

第 11 句 配偶者 いれば必ず 相続人

2014年5月17日(長岡俊行)
法定相続人には第一順位から第三順位まであり、亡くなった人から見て「直系卑属」「直系尊属」「兄弟姉妹」の順番になっています。そして、先順位の相続人が一人でもいる限り、後順位の相続人には法定相続分がありません。
 
ただし、亡くなった人の配偶者は、ほかにどの順位の相続人がいようと、必ず相続人になります。法定相続分は、一緒に相続する人の順位によって異なりますが、最低でも半分以上となっています。
 
具体的には、第一順位である直系卑属と一緒に相続する場合は2分の1を、第二順位である直系尊属との場合は3分の2を、第三順位である兄弟姉妹との場合は4分の3を配偶者が相続します。そして、配偶者以外の相続人は、残りの何分の1かを、その順位にいる人数で分けることになるんですね。
 
もちろん、ほかに相続人がいなければ、配偶者が一人で遺産を受け継ぐことになります。夫婦の財産は二人で築いたものという考え方が強いのではないでしょうか。
 

第 12 句 事業用 資産を遺言で 後継者

2014年5月19日(井出誠)
会社経営者の相続というものは、一般の方の相続に比べてなかなか悩ましい問題がつきまといます。特にオーナー経営者の死後、その事業をめぐる相続トラブルで泥沼化、なんて話も少なくないですね。
 
ご自身が一代で築き上げた事業を、長男へ円滑に事業承継したいと望む経営者は多いかもしれません。そのような方は、事業経営に必要な不動産・動産、その他一切合切の財産を長男が相続するのは当然だろう、とお考えになるでしょう。
 
しかし、残された他の遺族はどうでしょうか?
 
自らが事業を引き継ぎたいと考える方もいるでしょう。事業は引き継がないが、財産は一人に偏ることなく、法定相続分通りに分割してもらわなければ困る、と考える方もいるかもしれませんね。
 
そうしますと最悪、会社の株式や自社ビル、その他不動産、営業権やのれん等々会社経営に欠かせないものまで遺産分割の対象となってしまう可能性もございます。
 
これではさすがにその後の事業経営に支障をきたしますよね。オーナー経営者もこんなことは望んでいないでしょう。
 
すでに特定の子を後継者にすることが決まっているのであれば、会社の株式や事業経営に欠かせない資産を後継者に相続させるといった遺言を残すことによって、円滑な事業承継を実現させられるかもしれません。
 
ただしその際、他の相続人の遺留分には十分注意することを忘れないでくださいね。
 

第 13 句 自筆遺言 手書きに日付 署名と印

2014年5月21日(長岡俊行)
「遺言」と聞くと、「遺言書」や「遺言状」と記された封筒が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。そして、封筒の中には遺産の分け方などが達筆な文字で書かれた紙が入っている……というのが、一般的なイメージではないかと思われます。
 
遺言にはいくつかの方式があるのですが、映画などでよく見る封筒に入った遺言書のことを「自筆証書遺言」といい、民法で次のように定められています。
 
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」(民法第968条)
 
……これだけなんですね。あとは第2項に訂正の仕方が定められているだけです。封筒に入れる必要はなく、筆記用具や印鑑の指定もないので、特別な準備をしなくても書くことができるのではないでしょうか。
 
そのようなわけで、形式的にはわりと単純なものなのですが、内容によっては相続人がかなり大変な思いをすることになりますので、あまり「お気軽に」書いてしまうのも考えものなのかなと感じています。
 

第 14 句 三か月 以内に放棄の 申請を

2014年5月23日(井出誠)
相続財産と聞くと不動産や預貯金といったプラスの財産をイメージしがちです。遺産分割で揉めるのも、やはりプラスの財産の取り合いといったケースが多いかと思います。しかし、「相続」とは相続人が被相続人の有していた権利と義務を引き継ぐ制度です。故に、原則的には借金等のマイナスの財産も当然に引き継ぐことになるんですね。
 
たとえば、
「プラスの財産が一切なくマイナスの財産だけを父が残して死んでしまった」とか
「夫が亡くなって、家は残してくれたがそれ以上に莫大な借金が残っている」など
このようなケースで残された相続人は、どうしてもマイナスの財産を相続しなければならないのでしょうか? もしそうだとすると誰しもが突然借金を抱えてしまうリスクを負っていることになりますね。
 
こんなとき、民法では「相続放棄」という制度がございます。
 
「相続放棄」した者は、その相続に関して初めから相続人とならなかったものとみなされます。故に、遺産相続における一切の権利と義務を放棄することになりますので、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も引き継がなくなるわけです。
 
「相続放棄」をするには、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てを行う必要がありますので、注意してくださいね。
 

第 15 句 機械では 書けぬ自筆の 遺言書

2014年5月26日(長岡俊行)
自筆証書遺言を書く道具については、とくに決まりがあるわけではありません。巻紙や便せんに、筆や万年筆で書くイメージがあるかもしれませんが、チラシの裏に鉛筆で書いたからといって、それだけで無効になるとは限りません。
 
ただ、「自筆」というだけあって、遺言者が自分の手で書いていないとなると、それは無効になってしまうんですね。ちなみに、自分の筆ではなく他人に借りた筆で書いたとしても、そこは問題になりません。
 
日ごろからパソコンを使い慣れていて、「これこそ自分の筆」と考えている方もいらっしゃるかと思います。裁判では、専らタイプライターを使用していた外国人がタイプライターで作成した遺言を有効と認めた例もありますが、これは外国の法令もからんだ例外中の例外です。
 
自分の手で書かなければならない……これが大原則なんですね。
 
ですから、パソコンでないと思うように文章を書けない人は、パソコンで下書きを作っておいて、それを自分の手で清書するのも一つの方法ではないでしょうか。
 
(2014-07-16 加筆訂正)
 

第 16 句 未支給の 年金請求 忘れずに

2014年5月28日(井出誠)
ご家族がお亡なくなりになったら、まずは市町村へ死亡届を提出しますね。
 
亡くなられた方が、年金受給者ならば、それと同じくして、年金事務所へも年金受給権者死亡届および未支給年金の請求が必要になります。
 
さて、年金は2か月ごと偶数月の15日に振り込まれます。そして振り込まれるのは、前月及び前前月分の年金です。それに対して、年金の受給権は亡くなられた月分までとなりますので、亡くなられた月分またはその前月分の年金が支払われないままの状態となってしまいます。
 
これが未支給年金といわれるものです。
 
この未支給年金の請求権は死亡者と生計を同じくしていた遺族にあります。
 
「生計を同じくしていた」という要件がございますので、「相続人」ではないわけです。このあたり勘違いされやすいところです。
 
また、未支給の年金は相続制度でいう相続財産にはあたりません。これは、遺族が自己の固有の権利として請求するものであり、遺族の方の一時所得という扱いになりますのでご注意くださいね。
 

第 17 句 吉日と 書いて遺言が 台なしに

2014年5月30日(長岡俊行)
自筆証書遺言には、必ず日付を書かなければなりません。遺言によって名義変更などの手続きをするときには、遺言者はもうこの世にいないのですから、日付がないと「いつの時点での意思」なのかを特定できなくなってしまいます。
 
また、複数の遺言があって、両方の内容を同時に実現することができない場合、たとえば、一方の遺言には「自宅を妻に」とあるのに、もう一方には「自宅を長男に」とあるような場合には、新しい遺言が優先されることになっています。
 
そのようなわけで、自筆証書遺言の日付は、「何年何月何日」なのかがきちんとわかるように書かれていなければならないんですね。
 
ですから、「平成26年5月吉日」などと書いてしまうと、5月の何日なのかがわからないので無効になってしまうというわけです。同じ月にほかの遺言が書かれているかどうかは関係ありません。
 
ちなみに、「平成26年のこどもの日」や「平成26年の誕生日」などと書いてあった場合は、その日を特定できることから、有効になるとされています。
 

第 18 句 相続人 確定する為 戸籍取る

2014年6月2日(井出誠)
遺産相続において、まず始めに行うべきは、誰がこの相続において相続人となるのかを確定することです。相続人が確定しなければ、遺産の分割もできませんし、相続税も計算することができないからです。
 
相続人の確定なんてしなくても、
「ウチは兄弟2人しかいないんだし……」
「ウチは相続人は母と私だけですので……」といいたいところかもしれませんね。
 
しかし、父が若いころに結婚していて腹違いの子供がいたとか、父が認知していた子供がいた、なんて可能性も無きにしも非ずですので、相続手続きを進めるためには、しっかり相続人を確定する必要があるんですね。
 
さて、相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍を取り寄せる必要があります。ひとくちに戸籍といいましても、戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本等がございまして、これらを死亡からさかのぼって収集していく必要がありますので、意外と手間なんですね。
 
また、請求先も最寄りの市役所だけというわけにはいかないパターンが多いです。本籍地をさかのぼって各市町村へ請求しなければなりませんので、このへんもけっこう面倒なんですね。
 
ただ、相続人を確定しないことには、相続手続が進んでいきませんので、こつこつ戸籍を収集していきましょう。
 

第 19 句 ペンネーム 自筆遺言を 書くときも

2014年6月4日(長岡俊行)
自筆証書遺言を作成するときには、本文と日付に加えて、氏名も自分の手で書かなければなりません。つまり、署名が必要なんですね。
 
これは本人(遺言者)を特定するためのものですので、ペンネームや雅号であっても、本人との同一性が認められれば有効とされています。
 
ですから、本人はペンネームのつもりで自書したとしても、それがその人のペンネームだとわかる人が世の中に一人もいなかったとしたら、無効になってしまうかもしれないんですね。
 
また、たとえ遺言としては有効になったとしても、戸籍謄本や除かれた住民票に記載されている氏名とは異なるので、実際に手続きをするときには、通常よりも手間がかかることが予想されます。その遺言を用いて不動産の名義変更などをするのは、けっこう難しいのではないでしょうか。
 
自分のペンネームに強い思い入れがあったとしても、遺産の分割方法の指定も含まれた遺言を作成するのであれば、本名もあわせて書いておいたほうが無難だと思われます。
 

第 20 句 加除訂正 決まった方式 以外無効

2014年6月6日(井出誠)
遺言を残そうとする場合、一番手軽に作成できる方式として認識されているのが、自筆証書遺言ではないでしょうか。自筆証書遺言は、ご自身で紙に書き記していく方式です。紙とペンさえあれば作ることができ、作成費用は特にかかりません。何度でも気軽に書き直しが可能という点が最大のメリットかもしれませんね。
 
一方、自筆証書遺言の作成には、いくつかの決まり事がございます。これらの決まり事を守らず作られた自筆証書遺言は無効にされてしまうことがありますので注意が必要です。
 
たとえば、遺言を書いている途中に、訂正したい部分や、削除したい箇所、加筆したい内容等が出てくることがありますね。この加除訂正には、民法で決められた一定のルールがあります。このルールに則って加除訂正が行われていなければ、どんなに一生懸命書いた遺言も無効になってしまう可能性があるんですね。もし遺言書が無効と判断されてしまったら、遺言者の最後の意思が反映されない相続となってしまうかもしれません。
 
故に、遺言を自筆証書で残そうとするならば、加除訂正の方法をしっかり理解したうえで、ルールに則って書き進めていきましょう。ただし、加除訂正の数があまりにも多くなってしまい、二重線や加筆、押印、署名だらけになってしまったときは、その遺言書自体を一から書き直したほうが良いかもしれませんね。
 

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「相続を気軽に学べる解説書を」ということで、八王子の行政書士・社労士の井出さん(至誠法務労務サポート代表)と一緒にコツコツと書き溜めたブログが、1冊の本になりました。
 100の題材を「相続」「遺言」「成年後見」「終活」の4章に分け、各タイトルは五七五の川柳形式にしてあります。口語調の解説文が「わかりやすい!」と評判です。

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はちおうじ総務相談所の長岡です。

GONZOを名乗りながらも、当たり障りのない記事を書いています。
中小企業の経営に役立つ情報を発信していきたいと思っているのですが……