もの補助2次公募の採択予定が100件のみで考える

 7月8日(金)に『平成27年度補正「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」の2次公募について』が発表されました。いわゆる「ものづくり補助金」の追加募集です。
 
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 2月から4月にかけて第一弾の公募が行われていた段階で、「今年は2次がない」という噂がありました。しかし、6月に採択結果が公表された際に、金融機関方面から「2次もある」という噂が流れてきました。
 
 その結果は……「どちらも正解」といえるのではないでしょうか。なぜなら、今回の採択予定件数は、「全国で概ね100件程度」となっているからです。「概ね」と「程度」が重複しているような気もしますが、そんなことは問題ではありません。
 

1.採択予定100件の意味

 ちなみに、前回の公募で採択されたのは7,729件でした。そのときの申請は24,011件です。採択率は32.19%であり、じつに16,282件が不採択となりました。仮に、その1万6千強が今回の2次公募で再挑戦して採択が100件ちょうどだったとすると、倍率は162.82倍、採択率は0.61%となります。
 これはちょっと、現実的な数字ではないですよね。ここに挑戦するとしたら、よほど計画に自信があるのか、よほど数字に弱いのか、もしくは経産省と強力なパイプが(以下略)。
 もちろん、100件という数字を見て諦める事業者もたくさん出てくることでしょう。そうなると、新規挑戦の事業者を加えても分母が小さくなって、採択率は上がるかもしれません。しかし、分子の約100件は固定ですから、応募者が1,000件まで減ってようやく1割です。
 ようは、公募自体は開始されたものの実質的には「なし」に等しいわけで、そういう意味で、2次公募に関する予想は「どちらも正解」と述べたのであります。
 そのようなわけで、認定支援機関としても、今回は積極的におすすめできないのが正直なところです。
 

2.完全報酬制は成り立つのか

 公募されている時期に「ものづくり補助金」などで検索すると、申請支援を行うコンサルタント会社等のWeb広告を目にします。そして、「完全成功報酬」をうたっている会社もけっこうあるようです。申請時には報酬が発生せず、採択されたら補助金の1割くらいを請求するパターンでしょうか。
 ものづくり補助金は金額がそこそこ大きいので、ノウハウを駆使して採択率をそれなりに上げられれば、この方式でも利益を確保できるのでしょう。しかし、今回はなにしろ全国で約100件ですから、10件くらいの申請支援をして全滅という可能性だってあります。この状況で完全成功報酬制を実施できる人は、なかなかいないでしょうね。じっさい、今回はWeb広告もほとんど出てこないようです。
 

3.完全成功報酬制について思う

 これは先月に書いた報酬の解説にも盛り込もうかと思ったのですが、個人的には、補助金申請の支援を完全成功報酬制で請け負うことに対しては疑問を感じています。
 ものづくり補助金クラスになると、申請書は質・量ともにそれなりのものを求められますので、支援者側としても、申請する事業者さんから経営資源やら強みやらをしつこく聞き出していくことになります。そして、顧客の要望や競合の状況なども合わせて整理して、それを審査員に伝わるように表現するお手伝いをするわけです。
 そうやって出来上がった申請書は、基本的には、少し体裁をいじれば事業計画書として使えるようなものになります。しかも、そこには、それまで気づいていなかった自社の強みなどがふんだんに盛り込まれているわけです。
 ですから、申請書が完成した時点でけっこう喜んでくださる事業者さんも多いです(もちろん、採択されればもっと喜んでくださいますが)。にもかかわらず、これを無報酬で請け負うのは、「申請書作成の過程には価値がない」といっているようなものではないかと感じるんですね。
 

4.まとめ

 ここで、「申請書の作成自体に価値があるのだったら、採択の可能性が絶望的でも支援を引き受けるべき」という考え方があるかもしれません。しかし、事業計画書を作成するために、わざわざ採択の可能性が極めて低い補助金の申請をする必要はないでしょう。だったら初めから事業計画書の作成支援をすればよいわけです。
 やはり、補助金を狙うのはあくまでもきっかけであって、とくに小規模事業者の場合は、そこできちんとした計画を立てることが、将来的にも役立つ経験になるのではないかなと感じる今日この頃です。
 

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「相続を気軽に学べる解説書を」ということで、八王子の行政書士・社労士の井出さん(至誠法務労務サポート代表)と一緒にコツコツと書き溜めたブログが、1冊の本になりました。
 100の題材を「相続」「遺言」「成年後見」「終活」の4章に分け、各タイトルは五七五の川柳形式にしてあります。口語調の解説文が「わかりやすい!」と評判です。

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はちおうじ総務相談所の長岡です。

GONZOを名乗りながらも、当たり障りのない記事を書いています。
中小企業の経営に役立つ情報を発信していきたいと思っているのですが……