【経営】会社設立(有限・株式・合名・合資・合同)

問題

会社設立に関する説明として、正しいものの組み合わせはどれか

ア 有限会社は比較的小規模な運営を想定しており、出資者たる社員が1名であっても設立可能であったが、会社法施行後は新規に設立することができなくなった。

イ 株式会社は経営資本を市場から集めての運営を前提としており、設立に際して株主たる社員は4名以上必要であったが、会社法施行後は株主1名での設立が可能となった。

ウ 合名会社は人的な集まりによる運営を前提としており、設立に際しては2名以上の無限責任社員を必要としていたが、会社法施行後は社員1名での設立が可能となった。

エ 合資会社は資本を持ち寄って行う運営を条件としており、設立に際しては2名以上の社員による出資が必要であったが、会社法施行後は社員1名での設立が可能となった。

オ 合同会社は複数名が共同で運営することを前提としており、設立に際して出資者たる社員は2名以上必要となる。なお、会社法施行に伴って新たに定められた法人である。

1 ア・ウ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 エ・オ
 
20161119thinkingtime

解説

 会社設立に関する問題です。平成17年に会社法が成立し、平成18年から施行されたことに伴い、会社を設立するための条件などにも変化がありました。

参考:有限責任と無限責任

 会社がお金を返せなくなったときに、出資した財産の限度で責任を負うのが「有限責任社員」です。株を買った人が、会社が傾いたときに株価の下落で損をすることはあっても、自分が持っている他の財産まで取られないのはそのためです。
 それに対して、出資したお金だけで会社がお金を払いきれないときは、自宅などを売ってでも責任を取らなければならない人を、「無限責任社員」といいます。

ア 有限会社は、株式会社に比べると小規模な運営が想定されています。例えば、株式会社における資本金の最低額が1,000万円だったときには、有限会社の最低額は300万円でした。また、株式会社が最低でも4名の役員(取締役3名と監査役1名)を必要としていたのに対して、有限会社は取締役1名での運営が認められていました。つまり、少ない出資額と人数で設立できたわけです。また、出資者はすべて有限責任社員でした。
 しかし、会社法施行に伴って新設はできなくなりました。そして、会社法の施行日より前から存在していた有限会社は「特例有限会社」となり、株式会社の一種として現在でも存続しています。

イ 株式会社は、市場から資金を集めて経営していくことが想定されています。ここでは、会社に対して出資した人、つまり株主を「社員」というわけで、いわゆる従業員とは違うんですね。ちなみに、株式会社の出資者、つまり株主は、すべて有限責任社員です。
 会社の経営を担う取締役などを「役員」といい、役員の最低人数については、4名だったものが1名になりました。それに対して、株主の人数については、以前からとくに制限がありません。また、資本金の最低額は1,000万円でしたが、その条件はなくなりました。

ウ 合名会社は、無限責任社員のみで成り立つ会社です。以前は2名以上の社員が必要とされていましたが、会社法施行に伴って1名だけでも設立可能となりました。もちろん、その1名は、無限責任社員であることが条件となっています。
 行政書士法人など、士業の法定業務を行える法人は、この合名会社の考え方が基になっているようで、無限責任を基本としています。ちなみに、行政書士法人や司法書士法人は2名以上の社員(資格者)を必要としますが、弁護士法人や社会保険労務士法人は1名でも設立可能です。

エ 合資会社は、無限責任社員と有限責任社員がそれぞれ1名以上いる会社です。つまり、最低でも2名の社員が必要なんですね。有限責任社員がいなくなって無限責任社員だけになった場合は、合名会社となります。逆に、有限責任社員だけになったら、合同会社になるわけです。
 東北の酒蔵などで見かけたことがありますが、あまり多くはない印象です。

オ 合同会社は、会社法施行後に設立可能となった、有限責任社員だけで構成される会社です。「合同」という名称ではありますが、株式会社と同じく、社員1名でも設立することが可能です。また、資本金の最低額もないため、不特定多数から出資を集める予定のない事業などに活用されています。
 有限会社の代わりに小規模な事業者が設立する会社、というイメージもある一方で、アップルや西友、そして最近ではAmazonなども合同会社となっています。

解答

アとウが正しいので、正解は1です。

ポイント
株式会社と合同会社は有限責任社員1名で設立できる

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「相続を気軽に学べる解説書を」ということで、八王子の行政書士・社労士の井出さん(至誠法務労務サポート代表)と一緒にコツコツと書き溜めたブログが、1冊の本になりました。
 100の題材を「相続」「遺言」「成年後見」「終活」の4章に分け、各タイトルは五七五の川柳形式にしてあります。口語調の解説文が「わかりやすい!」と評判です。

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はちおうじ総務相談所の長岡です。

GONZOを名乗りながらも、当たり障りのない記事を書いています。
中小企業の経営に役立つ情報を発信していきたいと思っているのですが……