【許認可】建設業の許可を受けるための要件とは

問題

建設業許可(知事・一般)に関する説明として、その正誤を正しく示す組み合わせはどれか

ア 経営業務の管理責任者となるためには、その業種に関して5年以上の経営経験が必要だが、大学の経営学科をはじめとした指定学科を卒業していれば3年の経験でよい。

イ 専任技術者となるためには、一定の資格等がなければ10年以上の実務経験が必要だが、大学の建築科や土木科をはじめとした指定学科を卒業していれば3年の経験でよい。

ウ 新規で許可を受けるためには500万円以上の自己資本が必要だが、直近の決算において純資産の額が500万円未満であっても、取引金融機関の預金残高が500万円以上あればよい。

1 ア:正 イ:正 ウ:正
2 ア:正 イ:誤 ウ:誤
3 ア:誤 イ:正 ウ:正
4 ア:誤 イ:正 ウ:誤
5 ア:誤 イ:誤 ウ:誤
 
20161119thinkingtime

解説

 建設業許可に関する問題です。許可を受けるためには、経営業務の管理責任者(経管)と専任技術者(専技)が常勤していることや、財産的基礎または金銭的信用を有していることなどが求められます。ようは、一定の経営経験と技術力、そして資金力が必要になるわけです。許可を受けると500万円以上の専門工事を請け負えるようになりますので、それに足りる能力があるかどうかの判断基準となるのでしょう。
 誠実性や欠格要件など、他にもいくつかポイントがあるのですが、実務で問題になってくるのは「経管」「専技」「財産」の3点だと思われます。

ア 経営業務の管理責任者
 許可を受けようとする業種に関して、5年以上の経営経験が必要です。具体的には、建設会社で役員をしていた期間や個人事業主として建設業を営んでいた期間を合計して、5年以上あるかどうかで判断します。
 基本的には、大工工事業の許可を受けるのであれば大工工事業の経営経験が5年以上必要ですが、その他の建設業において7年以上*1の経営経験がある場合でも、大工工事業の経管となることは可能です。この考え方は全業種に共通していますので、いずれかの業種で7年以上の経営経験があれば、すべての建設業において経管になれるんですね。
 その一方で、建設業以外の経営経験はまったく考慮されません。ですから、例えば建設資材の販売会社で社長を10年務めていた人であっても、その会社が建設業を営んでいなかったのであれば、経管の要件は満たせないわけです。
 いくら経営経験があったとしても、建設業独特の慣習がわかっている人でなければ500万円以上の工事を任せるわけにはいかない、ということではないでしょうか。そのようなこともあってか、大学で経営学などを学んだとしても、必要な経験年数が短縮されることはないのです。
*1 平成29年6月30日より「6年以上」となりました。

イ 専任技術者
 字面から、建設現場における技術面での責任者のようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、専任技術者は営業所に常勤していて、現場には出ていかないのが原則的な考え方となっています。技術的な面を統括し、自社の施工能力などを把握して、適切に工事を受注していくのに必要な人材といえるでしょう。
 施工管理技士や技能士など、一定の資格等があれば対応する業種において専技の要件を満たすことができます。しかし、それがない場合には、許可を受けようとする業種に関して一定の実務経験が必要です。こちらは専任技術者としての経験ではなく、実際に現場で施工に携わった経験などが該当します。
 このとき、建築科や土木科等の指定学科を卒業していると、大学の場合は3年、高校の場合は5年の実務経験で要件を満たせるのですが、そうでない場合は10年以上の実務経験が必要となります。ちなみに、業種によって指定学科は異なりますので、大学の建築科を卒業していたとしても、資格なしで土木工事業の専技となるためには10年の実務経験が必要なんですね。

ウ 財産的基礎等(特定建設業を除く)
 工事を請け負った業者が資金難に陥ると、材料費や外注費の支払いなども苦しくなり、発注した施主さんだけでなく、取引先にも悪影響を与えてしまいます。これが500万円以上の工事となると、与える影響もそれだけ大きくなりますので、許可を受けるためには財産的基礎等も要件となってくるわけです。
 自己資本については、500万円以上あることが求められます。法人の場合は貸借対照表(B/S)における純資産の合計額で判断しますので、資本金が500万円未満であっても、利益の積み増しがあればクリアすることも可能です。
 また、500万円以上の資金調達能力であっても、要件を満たすことができます。具体的には、取引金融機関の発行する500万円以上の預金残高証明書などで判断されますので、たとえ一時的であっても、申請するころに自社名義の口座に500万円以上入っていればよいのです。
 ちなみに、許可を更新する際には、直前の5年間に建設業の許可を受けて営業した実績があれば要件を満たせるので、この「500万円」がポイントになるのは、基本的には新規申請のときだけです。

解答

アは誤りであり、イとウは正しいので、正解は3です。

ポイント
建設業許可を受けるには、一定の経営経験と技術力、そして資金力が必要

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「相続を気軽に学べる解説書を」ということで、八王子の行政書士・社労士の井出さん(至誠法務労務サポート代表)と一緒にコツコツと書き溜めたブログが、1冊の本になりました。
 100の題材を「相続」「遺言」「成年後見」「終活」の4章に分け、各タイトルは五七五の川柳形式にしてあります。口語調の解説文が「わかりやすい!」と評判です。

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はちおうじ総務相談所の長岡です。

GONZOを名乗りながらも、当たり障りのない記事を書いています。
中小企業の経営に役立つ情報を発信していきたいと思っているのですが……